ゆとりエンジニアのメンタル管理術

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今回は「無理をせず自分のペースでエンジニアを続けるためのメンタル管理」についてお話しします。

エンジニア業界では「常に学び続けないと取り残される」「最新技術に追いつかなければ」というプレッシャーが強いですよね。しかし、そんな焦りや比較の中で疲弊していては長く続けられません。

私自身、エンジニアとしての情熱や向上心が特別高いわけではない「ゆとりエンジニア」として、どのようにメンタルを整え、自分のペースを守りながら仕事を続けているのか——そのリアルな体験をお伝えします。

「比較」という名の落とし穴

他者比較で失ったモチベーション

私の場合、自分と同じくらいの年代の、明らかに優秀なエンジニアを見るとモチベーションが大きく低下します。

新卒で入社した会社では、同期や先輩に技術力の高い人がいて、「到底追いつけない」と感じることが多々ありました。さらに衝撃だったのは、後から入社してくる自分より下の代のエンジニアの中にも、明らかに自分より優れた人たちがどんどん入ってくることでした。

「エンジニアとして頑張っても意味がないのではないか」

そんな思いが頭をよぎるようになり、学ぶ意欲が削がれていきました。

フリーランスになった今でも、他の優秀なフリーランスエンジニアを見ると同じ感情が湧きます。技術が好きで、四六時中勉強や仕事をしていて、深い専門知識を身につけ、高単価で案件を取っているエンジニアを見ると、正直なところやる気がなくなります(笑)。

比較からの解放:開き直りの効用

周囲のエンジニアと比較しまくりだった私ですが、最近はいい意味で開き直れるようになってきました。

エンジニアリング以外にもやることはある——そう考えて気を紛らわせていた時期もありましたが、今では「自分が学びたいことを好きに学ぶ」というスタンスに変わってきています。他の人との比較はしないし、技術に対して無理に情熱を持とうともしません。

皮肉なことに、この「開き直り」によって、少しずつですが以前より勉強できているという側面があります。肩の力が抜けたことで、むしろ学びやすくなりました。

「無理をしない」という決断の強さ

断る勇気を持つ

ゆとりを持って働き続けるためには、時に「ノー」と言う勇気が必要です。

私の場合、クライアントからの要求に対して、できないと思ったら素直に「できません」と伝えるようにしています。見積もりも多めに出すことを心がけています。

「できる範囲でやって、それで不満が出るなら、お互いつらいだけ」

だから、その場合は契約を切られても仕方ない。そんな割り切りを持つことで、無理に応えようとするストレスから解放されています。

プロフェッショナルとしての正直さ

「できない」と正直に言うことは、プロフェッショナルとしての誠実さでもあると思っています。無理な約束をして結果的に質の低い成果物を提供するより、最初から実現可能な範囲を明確にする方が、長期的な信頼関係を築けます。

クライアントだからといって必要以上にへりくだらず、マイペースでコミュニケーションを取るのも長く続けるためには重要なことです。もちろん、進捗の共有などの基本的な対応はきっちりと行います。

日常に取り入れるメンタルケア習慣

精神的な余裕を持ち続けるためには、日々のケアが欠かせません。私が実践している方法をいくつか紹介します。

瞑想の習慣化

私は毎日10分間の瞑想を行っています。これは5分から始めて徐々に伸ばしてきたもので、現在は2か月ほど継続中です。できれば1日30分以上を習慣化したいと思っています。

瞑想によって「今、ここ」に意識を戻す習慣がつくと、仕事中のストレスや比較から生まれる焦りに気づきやすくなります。それに気づくだけでも、感情に振り回される度合いが減ってきます。

身体を動かす時間

運動も少しずつ生活に取り入れています。散歩や軽い筋トレがメインですが、たまにインターバルトレーニングにも取り組みます。

プログラミングは基本的に座りっぱなしの作業。身体を動かすことで、頭の中のモヤモヤがスッキリすることがよくあります。難しい問題に行き詰まった時こそ、一度席を立って体を動かすと、意外なアイデアが浮かぶこともあります。

自然との触れ合い

近所に自然豊かな環境があるので、定期的に足を運んでいます。神社や公園での時間は、デジタルな世界から離れて心をリセットするのに最適です。

スクリーンから離れて緑を見ることで、目の疲れも和らぎますし、何より「エンジニアとしての自分」から一時的に解放されるのが心地よいです。

筆記開示

メンタル的に本当にしんどい時は「筆記開示」も行います。自分の感情や考えを紙に書き出し、整理するこの方法は、頭の中のごちゃごちゃを外に出すのに役立ちます。

「自分はダメだ」「周りは優秀すぎる」といったネガティブな思考ループに陥った時、それを文字にすることで客観視できるようになります。

必要最低限の成長を続けるコツ

無理をしないと決めていますが、少しずつでも成長していきたいとは思います。

私自身、「必要最低限の成長ができているか」と問われると、明確な自信を持って答えられるわけではありませんが、しんどくならない方法を取ることで進歩は続けられていると思います。

興味の持てる対象を選ぶ

まず意識しているのは「仕事に役立ちそうな分野の中でも、特に興味の持てる対象を選ぶ」ということです。

興味があれば勉強は苦になりません。最近だとAIエディタの「Cursor」に興味を持ち、自分でも学んで使うようになりました。無理に「流行りだから」と手を出すのではなく、「面白そう」と思えるものに自然に手を伸ばすという感覚を大事にしています。

細かいステップを刻む

大きな目標や「〇〇を極める」といった壮大な計画は、モチベーションが高くない人にとっては重荷でしかありません。私が意識しているのは、「とにかく細かいステップを刻む」ことです。

例えば「新しい言語を習得する」ではなく、「この言語でHello Worldを表示してみる」「簡単な計算機能を作ってみる」といった、小さく達成可能なステップに分解します。これにより行動に移しやすくなりますし、小さな成功体験を積み重ねることができます。

ゆとりを持つための意識

最後に、私がゆとりを持つために大切にしている考え方を共有します。

「最悪のシナリオ」を受け入れる

「このままスキルが足りなくなったらどうしよう」という不安は誰にでもあります。私の場合は「そうなったらそれまでだな」というあきらめも持っています。

私の場合、「最悪職がなければ田舎にこもろう」と思っています。それを受け入れられるなら、日々の小さな失敗や挫折は大したことに思えなくなります。

「比較」から「創造」へ意識をシフトする

他者との比較ではなく、自分自身の創造性に目を向けることで、エンジニアとしての満足感は大きく変わります。

他者との比較をする代わりに、自分がどんなものを作りたいのか、どんな課題を解決したいのか、そういった創造的な視点に意識を向けることで、エンジニアとしての満足感はより深いものになっていきます。

世の中に求められていなくても、自分が欲しいと思うものを作ったり、仕事で役に立たないかもしれないけど、今書きたいコードを書く、というような意識を持つことで、創造的なプログラミングの時間を作ることができます。

まとめ

もしあなたが今、エンジニアとして苦しんでいるなら、もっと楽に取り組む方法を探してみませんか?

完璧を目指す必要はありません。すべての技術に精通する必要もありません。「できること」と「できないこと」を正直に認め、自分のペースで歩み続ければいいのです。

ゆとりを持つというのは決して「手を抜く」という意味ではなく、「自分にとって持続可能な働き方を選ぶ」という意味です。長く続けるからこそ、少しずつでも成長し、いつの間にか自分らしい価値を生み出せるようになっていきます。