正社員エンジニアがフリーランスに転向して悩んだこと14選

フリーランス

フリーランスエンジニアで多いのは、正社員のエンジニアとして経験を積んだ後、フリーランスに転向するというパターンでしょう。

私自身もそうでした。その経験から正社員からフリーランスになって大変だったことについて書きたいと思います。

今後フリーランスエンジニアになることを考えている場合、この記事を読むことで事前にどんなことで悩みそうなのかを知っておくことができると思います。

私の経歴について

まずは簡単に私の経歴について触れておきます。

新卒で大企業に入社しWebエンジニアとして約3年働いた後、ベンチャー企業に転職してそこでも3年ほどエンジニアとしてのキャリアを積みました。その後、正社員として働くことに窮屈さを感じるようになり、フリーランスエンジニアとして活動することを決めました。

フリーランスになることはぼんやりとずっと考えていたことですが、決断に至るまでは少し時間がかかりました。まずは決断をするまでに悩んだことについてあげていきたいと思います。

フリーランス化を決断する前に悩んだこと

まずはフリーランスになることを決める前の話です。

1. 踏み切るきっかけがなかった

フリーランスになる考え自体は実際にフリーランスになる2年前くらいから持っていました。ただ、特に具体的に行動は起こさずに時間が経ってしまったなと思います。

その間に正社員として経験が積めたというのはプラスだったと思いますが、もう少し早い段階でアクションを取っていても良かったなと思います。

正社員でエンジニアをしていると周りも正社員のエンジニアがほとんどですし、そういった人間関係の中で生きているとフリーランスになるということはかなり勇気のいる決断のように見えてしまいます。

自分の場合は身近な友人でフリーランス1本でやっているエンジニアはいなかったので、そういったエンジニアが遠い存在のように感じていました。

唯一関わりがあったのは働いている会社で業務委託として働いている人たちで、フリーランスエンジニアとして長く活動している方もいました。そうした方と一緒に仕事をしたり、たまに雑談などをする中で、少しずつフリーランスになることへの心理的なハードルが下がっていったように思います。

フリーランスになりたいとなんとなく思っていても、なかなかきっかけがなくズルズルと時間が過ぎてしまうことは正社員エンジニアにとってかなり起こりやすいことだと思います。

2. 上司や同僚に反対された

フリーランスになるという選択肢が少し輪郭を帯びてきていたタイミングで、上司や同僚に話すこともありました。

よくある話かとは思いますが、そこで反対されました。私を思ってくれてのこともあると思います。しかし、やってみたいと思っていることに対して反対されたのはやはりショックではありました。

私自身は人生の大きな決断については人の話はあまり聞かないタイプなので(笑)影響はそこまでありませんでしたが、こういったことでフリーランスになることを諦める方もいるのではないかと思います。

内容としては「あなたは会社員の方が向いている」といったことや、将来的なキャリアを考えたときに正社員を続けたほうが良い、という話でした。ごもっともだなとは思いますし、自分でも考えていた内容です。ただ、それはやってみないとわからないとも思いました。

将来のことも含めて色々考えた結果やってみたいと思うのならやるしかないよな、と個人的には思ったので、最終的にはフリーランスになることを決めましたが、こういった身近な人からの意見は場合によっては決断を左右することになってしまうと思います。

3. 友人に反対された

これも2と同じような話ですが、友人にも反対されました。

先程も書いたように私自身はそれで考えを変えるタイプではないので大丈夫でしたが、友人からの反対は職場の人に反対されるよりもショックは大きかったですね。

内容は同じようなことで、この先のキャリアを考えたら正社員を続けたほうが良いという話でした。そういったことを人一倍よく考えている友人だっただけに、強く反応してしまったのだと思います。

後にその指摘が正しかったという話になる可能性はありますが、それでも自分はやってみたいと思っていましたし、上手くいく可能性だってやりようによっていくらでもあると思いました。

というわけで、自分はあまり流されずに済みましたが、こういったことで悩む方も多いのではないかと思います。

次は、フリーランスになることを決断してから悩んだことを書いていきます。

フリーランス化の決断〜会社を辞めるまでに悩んだこと

フリーランスになることを決めた後、会社を辞めるまでの間は一番不安が高まるタイミングでしょう。私自身不安は大きかったです。ここで悩んだことについて書いていきます。

4. 案件探し

フリーランスになる場合、転職と違って次の仕事が決まっている状態で会社を辞めることになるケースは珍しいです。業務委託として契約する場合は直近の仕事に入ることが多いためです。

私は辞める会社の有休消化期間で仕事を探しました。次の仕事が決まらない状態で退職が確定してるのはやはり不安でした。しかしフリーランスエンジニア向けに仕事を紹介してくれるエージェントの存在は知っていたため、なんとかなるだろうと考えていました。

また、同時に友人のエンジニアからその人が勤めている会社で働かないかという声もかけてもらえて、一気に気は楽になりました。

最終的にはエージェント経由で1つ案件を取り、友人の紹介の方でも契約させてもらうことになりました。

エージェントの存在が案件探しの上では最後の砦という感じである程度安心感があります。

エンジニアの友人がいれば、契約先を紹介してもらうようにお願いするのも良い方法です。友人の紹介であればある程度は信頼関係が作られた状態で仕事を始められるのも大きいです。

5. 仕事の引き継ぎ

これは転職でも同じですが、会社を辞める際に仕事を引き継ぐことになります。

私が見てきた退職する人の中には、もう辞めるから適当でいいや、という態度の人も少なからずいたように思います。転職の場合はそれでいい、というわけではないですが、フリーランスとして独立する場合、もしかしたら今いる会社と業務委託として契約できる可能性もあるため、ないがしろにするのは得策ではないです。

むしろ働いていた会社と業務委託契約を結ぶのは、フリーランスのスタートとしてはリスクを抑えつつ働き方をシフトしていくためのちょうどいい選択肢とも言えます。まずは今の会社で正社員 → 業務委託となって、その後他の案件を探していくというような進め方です。

またすぐにではなくても、後々関わることになる可能性もあります。そういう意味でも丁寧に仕事の引き継ぎはやりましょう。

6. 事業開始の届け出

フリーランスになるには、開業に関する届け出を行う必要があります。こういった書類の提出等に苦手意識を持っている方もいるでしょう。私自身そこまで好きではないです。ただ、フリーランスとしてやっていく中ではこういった事務作業は色々と必要になってきます。

開業の届け出については、freee開業 を私は利用しました。こういったサービスがあるおかげで負担が軽減されるためありがたいと感じます。開業書類の作成については無料で行えるので、ぜひ活用しましょう。

次からはフリーランスとして仕事を始めてからの悩みについて書いていきます。

フリーランスエンジニアになってから悩んだこと

7. 環境の変化に慣れる

まずは環境の変化に慣れることからです。フリーランスになると立ち位置が変わって、社員との関わり方も変わります。開発を行う中でのコミュニケーションの変化に最初は戸惑うかもしれません。

働き方にも変化が生まれます。私の場合は元々フルリモートの会社で、フリーランスになった後もフルリモートのため、大きな変化ではありませんでした。ただ正社員時代は、なんだかんだ月に数回出社したり、会社のイベントに参加したりといったことはあったので、生活が変わった感覚はありました。何かに所属しているという感覚がなくなったのは大きな違いです。

フリーランスへの転向は普通の転職よりも心理的な面で変化を感じるポイントが多いです。私の場合は最初はプライベートなスケジュールにある程度余裕を持たせることで変化に適応する時間を作りました。そういった準備をしておくとよいかもしれません。

8. 信頼関係を築く

フリーランスとして仕事を続けていくためには取引先と信頼関係を築くことが欠かせません。正社員を解雇するのは難しいですが、業務委託であれば契約の更新を止めるというのは難しくないためです。契約には適当な期間が設定されることがほとんどかと思います。例えば3ヶ月ごとに契約は自動で更新される、というような具合です。契約を打ち切りたい場合は、更新の1ヶ月前に通知するというような内容が多いです。

そうした立場で仕事をするため、信頼関係を築くのは本当に重要です。開発で具体的な成果物を仕上げることも重要ですし、それ以上に一緒に仕事を進めやすいと思ってもらうことが必要です。マメにコミュニケーションを取って、社員の方から作業の状況が分かりやすいように仕事を進めるのが業務委託エンジニアとしては特に重要なポイントです。

私がフリーランスとして仕事を始めたばかりの頃は、自分の中で考えている十分な連絡と、社員の方が欲している情報が噛み合っていないタイミングはありました。都度自分の中でコミュニケーションに修正をかけて、徐々に一緒に仕事を進めやすい空気を作っていくようにしました。

フリーランスとして長く活躍するためには、仕事を安心して任せてもらえるようなコミュニケーションの取り方に気を付けることが重要でしょう。

9. 面倒な事務作業に対処する

フリーランスになって最も悩むポイントの1つが、面倒な事務作業が増えることかもしれません。分かりやすい例で言えば確定申告です。正社員時代に特に副業等の経験がないと、自分で確定申告することもなかったと思います。特にフリーランス化した初年度はある程度時間を取られることを覚悟しておく必要があるでしょう。仕事の一部として捉えて、計画的に進めるのがよいです。私自身は以前に確定申告の経験があったのでなんとかなるだろうと思っていましたが、結局、締切直前に焦ることになりました。

自分で青色申告を行うのはなかなか大変だと思うので、専用のサービスを使うのがよいと思います。私の場合は開業のときにも使った freee を使いました。青色申告のための機能は有料のサービスです。

あるいは税理士と契約することもできます。面倒なことを一切やりたくないという場合はお金を払ってすべて任せてしまってもよいでしょう。私はそこまでしなくていいかなと思い現状は税理士とのやり取りはありません。自分自身がある程度会計知識を持っておくのも重要だと考えました。

確定申告以外にも、税金や年金、健康保険料の支払いなど、会社員のときには意識しなくてよかったことを自分でやる必要が出てきます。自動で引き落とされるようにしてしまうのがベストですが、中には毎月振込みが必要なものもあります。例えば、私の場合は、関東ITソフトウェア健康保険組合(ITS)の任意継続という仕組みを使って、会社員時代の健康保険を引き継ぐということをしました。そちらの方が健康保険料が安くなるためです。ただ、この制度は口座の自動振替というようなものが提供されておらず、毎月手作業での支払いが必要です。そのため、多重にリマインダーをかけて忘れないように頑張りました。支払いを忘れてしまうと、一発で資格を喪失してしまうため、うっかりは許されません。

フリーランスになると正社員のときには意識しなくてよかったことを自分でやらなくてはいけなくなります。事前にその分のゆとりを確保し、忘れないような対策を考えておくとよいでしょう。

10. 計画的にお金を管理する

フリーランスになると、正社員のときよりもより計画的にお金を管理することが重要になります。先述の通り、税金や年金、健康保険料の支払いを自分で行う必要があるため、常に入ってきた収入の中から残さなければいけない金額を計算しておく必要があります。また、予期せぬ出費が発生することもあります。例えば、突然PCが壊れるなどのアクシデントが起こり得ます。正社員で社用のPCを使っている場合は費用を自分が負担する必要もありませんが、フリーランスでは自分のお金で修理するなり買い替えるなりしなくてはなりません。

私自身、資金に多少の余裕を持ってスタートしましたが、諸々の支払いの計算も本当にこれで合っているのか?という不安は常にありました。実際に、後々になって知る税金の仕組みなどで、計算が変わったりもしました。

一例ですが、所得税の支払い方について最初はよくわかっていませんでした。確定申告後に一気に支払うと思っていて、初年度はその通りでしたが、その次の年からは予定納税という形で納めるタイミングが変わるということを後で知りました(ちゃんと調べておけばわかることですが…)。

予定納税の場合、一年の中で3回にわけて所得税を払うことになります。そのため、3月までにお金を貯めておけばいいと考えていると支払いができなくなる可能性があります。

事前にフリーランスのお金に関することをよく調べておくとともに、資金に余裕を持って始めるのがよいでしょう。

11. 将来に備える

フリーランスになると正社員と比較して不安定な状態になります。社会状況の変化などによって案件が取りづらくなったり、自分自身のスキルが陳腐化し、世の中の需要とマッチしなくなる可能性があります。十分な資金が確保されていないと、仕事がなくなったときにつらい状況になるのは確かでしょう。そういったことを考えることによって不安になってしまう問題もあります。

私も漠然と将来に不安を感じてしまうことがありますが、行動することで将来に備えることを意識しています。まだおとずれていない将来の出来事を心配しても無意味なので、今できることを考えて進めるしかありません。

お金に関しては一定の貯金ができたら投資を行って仕事がなくなった場合の生活に備えるのが重要でしょう。自分自身のスキルを常に磨いておくことで、市場から必要とされる存在となっておくことは常に意識しておきたいところです。とはいえ、頑張れる限界もありますし、予期していない問題が起こることもあります。何か問題が起こったときのバックアッププランを用意しておくのが、最も将来の不安を和らげてくれるように思います。

例えば自分の場合であれば、ド田舎出身なのでいざとなったらそちらに戻ることも考えています。そうすれば支出は激減し、本当に小さな仕事でも生きていけます。

他にもいろいろなパターンが考えられますが「いざとなったらこうしよう」と思えるだけで楽になると思います。

12. 人間関係を広げる努力をする

フリーランスになると人間関係が狭まりがちです。もちろん仕事のスタイルにもよりますが、業務委託のエンジニアとして働く場合、人間関係が広がりづらくなるケースが多い印象です。正社員のときはチームや会社の一員として働く感覚が強かったです。フリーランスになってからは、会社の外の人間という意識が強くなりました。実際に社員とのコミュニケーションも、社員同士と比較したらよそよそしくなります。会社のイベントに参加することは基本的にない or 少ないです。業務委託でも社員に溶け込んで仕事できるような会社もありますが、割合としては少ないと思います。

私もフリーランスになってからは仕事の繋がりで人間関係が広がるということはほぼなくなってしまいました。代わりに趣味で人間関係を広げています。フリーランスの場合、意識的に人間関係を広げる場を持たないと、孤立していきやすいと感じます。それでも問題ないという方もいると思いますが、人との繋がりを多少は持ちたいという場合は対策を考えておくと良いでしょう。フリーランス同士の横の繋がりを持つ手もあるでしょう。あとは趣味であったり、最近疎遠になっている友人に連絡を取ってみるのもありかもしれません。

13. 技術力を磨き続ける

フリーランスエンジニアは特に意識して技術力を磨き続ける必要があります。正社員でも技術力を磨くべきという考えは正しいですが、正社員であれば技術力が伸びなくても会社に居座り続けるということは意外と簡単だったりします。そういう事例を何人も知っています。(もちろん中長期的にそれで上手くいくとは限りませんが)。フリーランスの場合、案件を取るたびに即戦力として通用するかの品定めを受けることになります。面談の際に、技術的な話題についていけなかったり、実績が足りていないと感じられれば当然契約を結ぼうとは思われないでしょう。

また、正社員であれば未経験のチャレンジングな開発に参加できることもあります。その中でスキルの幅を広げることができます。フリーランスの場合は、今持っている技術を活かせる仕事がメインになります。即戦力を求められており、育成という観点は持たれないからです。そうなると、仕事の中で学ぼうと思ってもスキルはどんどん狭くなっていきます。自分自身で最新技術の動向を追ったり、スキルの幅を広げるための学習をする必要が出てきます。このあたりがフリーランスになって意識的に技術力を磨かなくてはいけなくなる大きな理由です。

私は、技術的なことを学ぶモチベーションが低下するタイミングが正直結構あります。正社員時代の終盤も学習を怠っていましたし、フリーランスになってからもモチベーションに波があります。習慣的に学習ができるように今も改善を続けている最中です。

14. 社会的信用が低くなる

フリーランスになると社会的信用は低くなります。ローンを組むのが難しくなったり、クレジットカードの審査に通りにくくなったり、といったことがあります。もし、大きめのローンを組むなど、社会的信用が必要なイベントが控えている場合は、それが終わってからフリーランスになる方が良いでしょう。私は、しばらくそういったことはないだろうと思いフリーランスになりましたが、今後大丈夫かなと不安になるタイミングはあります。

ただ、私が心配していた中で、意外と問題がなかったのが引っ越しです。新しく賃貸を契約する際にも審査はあります。その際にフリーランスであることが不利に働くのではないかと思っていました。私の場合はですが、全くそういったことはなかったです。不動産屋の方と話した印象としては、年収が基準を満たしていれば大丈夫、というような空気感でした。私の場合は収入に対してそこそこ攻めた家賃設定をしたので、審査で落ちることも覚悟していましたが、スムーズに通って安心しました。もちろん、どの物件でもそうとは限らないとは思います。大家さんの意向でフリーランスだと審査に通りづらいというようなことはあるでしょう。

フリーランスとして社会的信用を高めていくには、収入を高めて実績を残し続けることや、法人化するなどがあると思います。これに関してはコツコツやっていくしかないでしょう。

まとめ

今回は正社員のエンジニアがフリーランス転向して悩むことについて書きました。どんなことで悩むのか事前に分かっておくと、フリーランスになるかどうか判断しやすくなるのではないでしょうか。

何に悩むのかが分かっていれば事前に対策が立てやすくなります。また、絶対そのことで悩みたくないと思う内容がある場合はフリーランスになる必要はないかもしれません。個人的には想像していたよりも悩みは深くなく、快適にフリーランスライフを送れています。

個々にあった働き方のスタイルがあると思うので、フリーランスが悩むことを見ても「やってみたい」と思える方は、チャレンジしてみても良いのではないかと思います。