はじめに
フリーランスエンジニアになると、週5で8時間働くことが必須ではなくなります。
多くの場合、フリーランスエンジニアは業務委託という形で企業と契約し、稼働時間に対して報酬を受け取るという形で働きます。この際の稼働時間と報酬の設定に何か決まりがあるわけではないので、週4や週3で稼働するような契約を結ぶこともできるのです。副業の場合は週1や週2の場合もあります。
私は、もともと正社員としてWebエンジニアをやっていましたが、今は業務委託として企業と契約して働いています。始めは週5で働いていましたが、週4だけ働く自由な生活に興味が出てきて、実際に週4で稼働する形に移行しました。
この記事では、私のような業務委託として働くエンジニアが週4稼働を実践することで、生活にどんな影響があったか?ということを自身の経験を踏まえて書いていきます。週4で働くメリットや、週4稼働に移行するにあたって注意が必要なことなど、これから週4で働いてみたいという方に参考になる内容だと思います。
すでにフリーランスエンジニアとして働いている方や、今後フリーランス化を考えているエンジニアの方にぜひ読んでいただきたいです。
週4で働いて感じたメリット
実際に週4で働いてみると色々と変化を感じます。その中でも私が特に重要だと感じたメリットについてここでは書きます。
スケジュールに余裕ができてパフォーマンスが上がる
週5から週4に働く時間を減らすということは、仕事に対して消極的なアクションのように思えるかもしれません。しかし、結果的には逆に良い影響があるのではないかと私には思えました。
最近は週休3日にすることで生じるポジティブな影響について言及されることが増えているように思います。実際にアイスランド政府が2021年に行った研究によると、週休3日にしても週休2日のときと比べて生産性が落ちないという結果が出ています。つまり、週に働く時間が少なくなっているのにも関わらず、同じだけの仕事がこなせたということです。仕事中のパフォーマンスは上がっていると言えます。
しかも、週休3日になることで幸福度は上がるという結果になっているようです。これは休みが増えるので当然かとは思いますが、生産性が落ちずに幸福度が上がるなら良いことしかないなーと思います。
[参考: GOING PUBLIC: ICELAND’S JOURNEY TO A SHORTER WORKING WEEK]
実際に私が週4で働く中でも同じようなことを感じました。休み明けで頭がリフレッシュして仕事が捗った経験がある人は多いと思いますが、休みが多い分そういった感覚も増えます。週の中で仕事をする時間も短くなるわけなので、疲労が蓄積しづらいのもあると思います。時間的な余裕ができると仕事に対する焦りも少なくなり、結果的にパフォーマンスの向上に繋がっているように思います。
(ちなみに、空いた時間を増やすことで生産性が上がるという話はWHITE SPACEという書籍で詳細に書かれており、そういった内容に興味がある方におすすめです。)
WHITE SPACE ホワイトスペース―仕事も人生もうまくいく空白時間術
プライベートの時間が充実する
仕事が減ることで当然プライベートな時間は増えます。スケジュールの調整が柔軟にできるようになるため、趣味や人間関係の時間を充実させやすくなります。
個人的には平日の予定を組みやすくなったことはかなり影響が大きいと感じました。単純に平日だからという理由でこれまで断念していた予定やイベント等にも参加できるようになりました。また、土日だと混んでいる場所に平日行けるようになったのは満足度が高いです。平日だと料金が安い施設も多いですよね。
週4で働くと言っても、どこかで1日休むようにスケジュールを組む必要もありません(厳密にはこれは契約によるのですが、一般的な業務委託の契約であれば問題ないはずです)。そのため、体調や心理的な理由で働きたくないなあというときに早めに仕事を終えて、別の日に少しだけ働くというようなこともできます。平日に1日バッファがあることで、こういった調整を行いやすくなります。コンディションが良くないときに無理に働かず、コンディションの良いときに働く時間を増やせるので、結果的に成果も出ることになります。
全体の仕事量が減ることでスケジュールを柔軟に組めるようになる点と、平日に予定の空白を作りやすくなるのは今でもメリットを感じていますね。
自己改善の時間を増やせる
取りたくても取りづらかった自己改善のための時間を増やせるのも大きいと感じます。私が特に良かったなと思ったのは以下の活動の時間を増やせたことです。
読書
読書の時間を無理なく増やせました。読みたいけど読めていなかった本に手をつけられるのは満足度が高いです。
身体的なメンテナンス
つい後回しになってしまっていた歯医者に定期的に通えるようになりました。口内環境が改善したのは個人的にはかなり大きいです。また、整体に行く時間も取れて、長年気になっていた姿勢の悪さの改善に取り組めています。
将来について考える
将来的なキャリアや人生全体のことを考える時間を取る余裕ができるのも大きいと思います。今後、どのようなキャリアを歩んでいきたいかや、どんな人生にしていきたいかということを考える時間が取れることは、中長期的にポジティブに働くはずです。目先の仕事に余裕ができたことでそういったことを考える時間も増えました。
他にも人によって色んな時間の使い方が考えられると思います。投資できる時間が持てるのは中長期的に見たときのメリットが大きいと思います。
週4で働く上での課題
ここまでは週4稼働のポジティブな面を書いてきましたが、ネガティブな面にも言及したいと思います。
収入の減少
当然ですが、働く時間を減らすことで収入は減ります(時間に対して報酬が設定されている前提)。
単純に計算すれば週5から週4に稼働を減らした場合、収入も 4/5 = 20%減です。この収入減に耐えられるかが一番のネックでしょう。収入が20%減っても問題ないレベルの余裕がある方は心配ないですが、それが厳しいという人もいるでしょう。私自身、20%の収入減は厳しいと感じていたので、対応策を講じました。
収入減への対抗策には以下のようなことが考えられます。
十分な単価で新しく仕事を取る
十分な単価で新しく仕事を取るのは、すでにフリーランスとして活動している方にとっては最も現実的な方法ではないでしょうか。20%単価を増やせば週5で働いているのと同じだけの収入になります。人によっては10%や5%でも大丈夫というケースもあるでしょう。
新しく仕事を取るタイミングで単価を上げるのは思っているほど難しくなかったりします。自身の実績や能力を評価されて契約に至る場合、10%前後の単価の変動は意外と気にされないことが多いように感じます。
実を言うと私は、正社員時代に業務委託のエンジニアの面接を担当していました。業務委託でエンジニアを雇いたい企業側としては、きっちり成果を出してくれる人を見極めたいという欲求が強いです。単価に関しては、なんとくの相場はあるものの本当に成果を出してくれるなら多少は多く払っても問題ないという意識が強かったです。また、契約はしたいが明らかに単価が高いと感じる場合は、企業側から交渉を持ちかけるはずです。まずは望む金額を提示することが重要でしょう。
今の仕事の単価を上げる
すでに契約先がある場合は、そこでの単価を上げるという方法もあります。新しく仕事を取る場合と比べて少しハードルは高い方法です。すでに現在の単価で契約が結ばれているわけなので、そこから単価を上げてもらうにはそれなりの理由が必要です。
実は私自身はこの方法を実践しました。というのも、少し状況が特殊だったため単価UPの交渉が行いやすかったからです。特殊な状況というのは、週2と週3の案件を掛け持ちしていたというものです。週3で働いていた取引先の方から、稼働を増やしてほしいという要望はいただいていたので、それを交渉材料としました。
具体的には「稼働を週3から週4に増やすので単価を上げてほしい」というお願いをしました。これを受け入れてもらい、もともと持っていた週2の案件については継続をやめることで、週4稼働へとスムーズに移行できました。希望の単価が通ったため、収入の面でデメリットを被ることはありませんでした。
もし何らかの交渉材料がある場合は、今の仕事の単価を上げるという方向性で考えるのも悪くないでしょう。
事前に資金に余裕を持っておく
事前に資金に余裕を持っておくことで対応するという考え方もあります。週4稼働の収入だと少し心許ないという場合に、あらかじめ資金のバッファを作っておくということです。そのためには、週4稼働に移行する前に週6や週7で働く期間を作るということになります。あるいは、単発の仕事をこなすということも考えられるでしょう。
この方法についても私は実践しました。具体的には週4と週2の仕事を掛け持ちしていた期間があります。先程、週2と週3の案件を掛け持ちしていたと書きましたが、週3の方を週4に変更した際にすぐに週2の方の案件を断ることはせず、週4と週2の仕事を両方持っていた期間があるということです。ある程度の資金的な余裕ができた状態で週4の仕事だけ残しました。こうすることで気持ち的にも余裕が生まれて移行に踏み切りやすかったと感じます。
時間を売らない収入源を構築する
それができれば苦労はしないよという話ではありますが、時間を売らない収入源を作ることができれば業務委託としての稼働を減らすことが可能になります。具体的には有料コンテンツの販売や、サービスやアプリの開発、投資などです。コンテンツ販売やサービス・アプリ開発であれば、一度モノを作ってしまえばあとは売れた分だけ(あるいは広告が見られた分だけ)報酬を得ることができます。投資も上手くいけば時間を使わずにお金を増やすことができます。
コンテンツ制作であれば、動画や記事といった形式が考えられます。動画や記事を有料で販売するプラットフォームを利用することで、コンテンツさえ作ればそれを広く売り出すことができます。もちろん、まとまった収入を得るためには多くの人に価値を感じさせるコンテンツを作る必要がありますが、上手くいった場合のリターンは大きいです。コンテンツの制作にモチベーションを持てる方は取り組んでみる価値はあるでしょう。
サービスやアプリを開発して収入を得るというのは、エンジニアであれば一度は夢見たことがあるのではないでしょうか。ハードルが高いのは間違いないですが、明確に作りたいものがある場合はチャレンジする価値はあると思います。ただし、週4稼働への移行を目指すという観点では適切な選択肢ではないかもしれません。大きなリターンは望めないが、小さな開発で済むというようなアイディアがあればアリかもしれません。
投資については元手をある程度持っている方にとっての選択肢となるでしょう。正直、私はそれほどの知見を持っているわけではないため、ここでは詳細を割愛させていただきます。
期待との乖離
週4で働くことによって確かに自由度は高まります。しかし、過度な期待を持ってしまうと思い描いていた生活との乖離を感じてしまう可能性もあります。私自身「あれ、もっと色んなことをするはずだったんだけどな」と感じたタイミングがありました。最初のうちは新鮮に増えた休みを楽しめるのですが、だんだんそれが日常化してしまう感覚があります。
冷静に考えれば、週の仕事が20%減るだけなので、2倍も3倍も何か新しいことができるわけではありません。1日8時間の稼働と考えれば、週に8時間浮くというだけです。8時間でできることは多いですが、それを無視してやりたいことを詰め込みすぎると、結果的に満足感の低下を招くでしょう。
自己管理の重要性が増す
フリーランスにとって自己管理は重要です。週4稼働だと特に重要性が増すと感じます。稼働が減って自由な時間は増える分、意識的に時間の使い方を管理する必要が出てきます。稼働を減らすと、その分怠けることもできてしまいます。怠ける時間が必ずしも悪いとは思いませんが、惰性で過ごしてしまうと生活の充実度は下がります。
週4稼働に移行する前に、何にどのくらい時間を使いたいか考えておくと良いです。趣味、自己改善、休息等にどれくらい時間を割り振るのかを事前に決めておくことで、なんとなく時間を浪費してしまうことを防ぐことができます。
まとめ
フリーランスエンジニアとして週4稼働をしてみて、私自身の生活は改善したと感じます。
趣味や自己改善に時間を割けるようになったり、休みが増えることで仕事のパフォーマンスが上がったりといったことが起きました。収入の減少等に対処する必要はありますが、より自由な生活を送りたい方にはおすすめの選択肢です。
ぜひ今後の働き方の選択肢の1つとして、週4稼働のフリーランスエンジニアというものを考えてみてほしいです。